2012年7月6日金曜日

ODD FUTURE TAPE VOL.2 / OFWGKTA

























たまにはネットラップ関連のフリー音源以外もレビューします!

 と、その前に、今日WEBSITEつくりました
ついにアルバム発売で話題のAKLOの古いインタビュー読んでたら、
 なんかDIYに目覚めてしまったので。

話をレビューに戻します。
OF Tape Vol.2』、ですが、ニッキーミナージの『Roman's Revenge』の発売時に、
タワレコに行ったら、横に並んでて1000円程度だったので、一緒に買ってきたんですが、
ニッキーミナージは未だに未開封で眠っているのに、 こっちは結構聴きました!笑 

もともと、タイラー・ザ・クリエーター、特にSheにハマってたのがあって、 そんなに高価でも無かったし、Sheみたいな渋くて美しい曲が、 1,2曲でもあればなぁーって感じで軽く買いました。
こっちだとフランクオーシャンも配分多めかなぁとかも期待して。

ちなみにフランクオーシャンは、Sheで知って、
その後カニエとジェイZとの共演曲(驚愕!)である"No Church in the Wild"でハマり、
フリーミックステープをダウンロードして聴いてました。

 →"She"の和訳付きPVはこちら

まず、OFWGKTAですが、
正式名称はOdd Future Wolf Gang Kills Them Allというグループで、
リーダーのTyler the Creator(僕と同い年)とその仲間で形成されてます。
ラッパーやビートメイカー、シンガーと揃っていて、
いわゆるフリー音源、ミックステープをばら撒いて話題を集めてブレークした、
勢いのある若手グループです。

正直、僕は全然メンバー把握してません。。笑

リーダーのタイラー・ザ・クリエーターは、声と歌詞が注目されがちですが、
実は独特なビートを作り、ファレルに憧れるなど、意外な一面があって、
N.E.R.DにもOFWGKTAにも通じる、オルタナティブでヒップホップな立ち位置は中々好きです。 

1曲目はメンバーでありながら、ラップもビートメイクも歌もしないというL-Boyが、メンバーの悪口をひたすら喋るだけというHi.で幕開け。汚く唾を飛ばしたところで、スネアの連打に合わせてふわふわふわふわふわふわとシンセがなる癖になる不気味ビートが響き、Domo GenesisとHoddgy Beatsが変わり変わりにラップを繰り広げるBithcesに移ります。続いては、ドンドンポコポコと鳴るドラムと、ズッシリとしたベースの上に、ピアノが響く(またまた不気味)NY。こちらはタイラーが製作。結構ツボにはまるビートの上で、Hodgy Beatsが一通りラップしたところで、ビートの展開と女性の愚痴のような声のブレークを挟んで、ついにタイラーが登場。やっぱりこの低音声は重みがあります。また女性のガヤに戻り「あなたの友達のちんこを5本もしゃぶったのよ!」と訴えるのを、女友達が制止するところで曲が終わります。中々凝っていて良いです。続いてOFWGKTAの紅一点でビートメイク、歌、DJをこなすSydと、ビートメイクのMattによるコンビ、The Internet(OFWGKTA内には、さらに小さなグループがいくつかあります。)による楽曲Ya Know。OFらしい独特な不気味さを残しながらも、タイラーまわりらしくない作りこまれた繊細なビートに乗せて、ふわふわと歌声が響くおもしろい1曲。the InternetはOFが不気味で過激なだけの一辺倒な集団にならない良い味を出してますねー(要チェック)。この不思議な空間をぶち壊すかのように、またブオーンブオーンとホーンがなり、がちゃがちゃどドラムが騒ぐシンプルなビートのForest Greenへと続きます。Left BrainとTylerのつくる、太いビートが好きになれるかどうかでODD FUTUREを好きになれるかが決まりそうな気がします。僕は結構好きですね。ラップはMike Gで、決して上手いとは言えないのですが、なかなかスムーズなラップを乗せます。ぐるぐると回るようにフローするフックは中々癖になりますね。続いてはキックスが主張しないので、不思議とふわふわするビートに乗せてまたまたDomo GenesisとHoddgy Beatsがラップを繰り広げるLean。やや単調ですが短いので、おおーと思って聴いてるうちにすぐ終わります。タイラー製作の、木魚のようなポッポッという音と、イェエエエという不気味な声ネタサンプリングを含みながらも、落ち着いてチル系なへんてこビートの上で、タイラーのラップとフランクオーシャンの歌声を堪能できるAnalog2は待ちに待ったshe系の美しい曲。一旦沈黙を挟んでからの展開など凝っていて楽しめます。激しい幕開け音のあとにひたすらドカドカと攻め立てる超攻撃的なLeft Brain製作のビートに乗せてHodgy Beatsが「ファック・ザ・ポリス、ブレイク・ザ・ロー(サツなんて糞食らえ!法なんて破ってしまえ!)」とがなり立てる50は、アルバムでも一番激しい曲かもしれません。とにかく凄い迫力です。ちなみにLeft BrainとHodgy BeatsはMellow Hypeというユニットを組んでいます。続いては、Left Brain製作のモールス信号のような音に、たまに短く高いホーン音が響くへんてこビートに乗せてHodgy BeatsとFrank Oceanがラップをしながら、「ウルフギャーング ワォオオオオオオン ワォオオン」と騒ぎ、Frank Oceanが気持ち程度に歌ってみせるSnow White。なんとも渋い曲です。ザザザという雑音でノイズアウトしたあとは、ビヨンビヨンボンボンとなるまたまた不思議なビートに乗せてHodgy BeatsとDomo Genesis、Tyler the Creatorがマイクを回すRella。締めるタイラーのラップは、やはり中々迫力があります。OFは独特なビートと、騒ぐようなラップだけでも充分おもしろいですが、タイラーの低く太くテクニカルなラップはやはり一味違いますね。ナーナーナーと歌う声が左右に響く中、ものすごいリバーブが聴いた声でラップとも喋りともいえないラップがダラダラと続くReal Bitch。フックの歌がド下手ですが意外とハマります。これもOFならでは。フックを歌った後にダラダラと喋り続けるTacoなる人物は、そもそもラッパーなのでしょうか。定期的にヒヨヒヨヒヨとリードが鳴り、途中からはダーティーなベースラインも加わるタイラー製作のビートに乗せてHodgy BeatsとTylerがラップするP。そろそろOdd Future節な曲もお腹いっぱいで飽きてくるころですが、シャウト気味にラップしたり、ぼそぼそとつぶやいてみたりするタイラーがなかなか渋くて、またOdd Futureの世界観に引き戻されます。そしてまた女性の声(英語ですら無い)で終わります。単調でありながら不気味なOF節に飽きてくるころに、少し雰囲気の違う曲を挟んでくるという構成がひたすら続くこのアルバムですが、ここでFrank Oceanが物凄い哀愁を漂わせて歌いあげるWhite。これは文句無しの美声です。ビートもフランクオーシャンが自分で製作。一通り歌いあげたところで、どーんと世界が広がるような展開で、あとはビートを聴かせます。そして、休息は束の間、またまたLeft Brain製作の攻撃的なドカドカビートにDomo Genesis、Hodgy Beats、Tyler the Creatorといかついメンツのマイクリレーが再び繰り広げられるHcapd。続いて不思議なイントロから始めるタイラー製作ビートのSam (is Dead)は、しっかりとしたファンなら多分Samっていうキャラが過去に登場していたのだと予測できるんですが、詳しくは分からないです。ただぶちぶちとビートが切れてみたり(最初はiPodとヘッドホンの接続部分の故障かと思って超調べた)、甲高い声で叫んでみたりと遊んでいて、楽しめます。静かで悲しい曲かと思わせるイントロから一転、結局OF節のDomsではDomo Genesisがラップを担当。というか、ラップしたり、喋ったり、唸ったりしてます。まるで映画でティラノサウルスが出てきたかのような、ズンズンズンとなるまたまたOF節のWe Got Bithcesはイントロで叫ぶTacoと思われる人物がスリムシェイディを彷彿とさせます。TacoとJasperという人物がどっちがどっちが分からないのですが、1バース目はニガ、ニガでひたすらライムして、フックはみんなでwe got bitchesと叫びまわります。タイラーも従来のズシっと低音を響かせる感じではなく激しいラップを繰り広げます。最後はフルメンツで10分以上にわたって送るOldie。ぶちぶちという切断音が入るのがやはりOFらしいし、僕は何度も気付かずにヘッドホンとの接続部分を何回も見直しました。ちなみにこのビートは、ニコラップのあはんれでぃおのバーベキュー第2弾曲のGrilled Beefでジャックされてますね。 

という感じで、後半は少しダレてしまった印象もあるOF Tape Vol.2ですが、
とにかくビートが、Odd Future節のものばかりなのですが、それぞれおもしろく、
ビートテープのようなイメージで、ビートだけ順番に聴いていっても充分に楽しめます。 

Left Brainのつくる本当にドカドカな攻撃的ビート、
雰囲気は似ていながらもどことなく繊細さが見えるタイラーのビート、
プロデューサーっぷり全開の手の込んだthe Internetsのビート、
自分の世界観を見事に紡ぎだすFrank Oceanのビート。 

あとはリリックが分かればもっと楽しめそうですね。
イギリスとかでも火が付いてるらしくて、インタビューで白人の青年が、
「ネットでのフリー配布が多いから表現が過激でいいんだよ!」って言ってたので、
やっぱそこらへんはリリックが大きいんだろうなと思います。

何曲かYoutubeでOdd Futureの曲を聴いてみて、
ビートがおもしろいと思ったら、是非お勧めします。

苦手だなぁと思った方は、多分苦手な曲が延々と続くので(苦痛)、
Odd Future挑戦はまたの機会にしたほうがいいかもしれませんね。笑