2013年8月14日水曜日

【和訳】 インタビュー - ケンドリック・ラマー 『Section.80』や、Dr.Dreの影響、音楽への姿勢、ドラッグについて等

今回は、かなり古いインタビューなんですが、Section.80を出した後のケンドリック・ラマーのインタビューが面白かったので訳してみました。


『Section.80』や、Dr.Dreとの関係、PharrellやJ.Coleとの仕事、音楽シーンについての考えなどを語っています。ストイックな姿勢と、名作『Good Kid M.A.A.D City』に繋がる片鱗が見えていて興味深いです。



序文

ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)は今確実に波が来ている。

彼は自主制作アルバムのSection.80をリリースしたばかりだが、Dr.DreやNas、Snoop Doggといったレジェンド達からの支持を獲得し、さらにはPharrellとも最近繋がったのだ。

彼は今大忙しだ。J.Coleとのミックステープ共作、ロサンゼルスを地元としたラップ・グループのBlack Hippy(彼主導で結成され、Ab-Soul、ScHoolboy Q、Jay Rockが所属)でのプロジェクト、そして彼が参加しているというDr.DreのDetoxでの仕事ぶりを忘れてはならない。

Kendrickと、彼のレーベルTop Dawg Entertainmentがニューヨークを訪れた際に、私たちは以前K.Dotとして知られていたアーティストを捉まえ、Section.80で名前が広がるまでの様々ないきさつについて語ってもらった。

Interview by Eric Michels(@Eric_Chance) & Insanul Ahmed(@Incilin)

『Section.80』を聴きながらお楽しみください。


あなたはSection.80で受け入れられたよね。レコーディングはどういうふうに進めたの?

俺はリリースの4か月前くらいからSection.80の制作に取りかかりはじめたんだ。俺はライブをたくさんやってる時期があったんだけど、変化をつけて、レコーディングとライブのバランスを取らなきゃいけなかったんだ。

俺はスタジオ・ミュージシャンだ。俺はスタジオに籠って、曲を作る、そうやって育った。それが俺のやりたいことだ。俺がODをドロップした頃には、俺はもう地方をたくさん回るようになってた。だから、俺は自分をスタジオに3ヶ月ほど閉じ込めて、自分の考えをまとめる時間が必要だったんだ。

俺は各地でライブをこなす中で、たくさんリリックを書いてた。でも、時には本当のスタジオの中で書かないと、良いバイブスで書いた本当に良い素材は出てこない。心地いい空間が必要なんだ。

俺にとって心地が良い空間は、カリフォルニアのCarsonにある、コンプトンから20分の、いつもと同じ小さなスタジオだったんだ。俺は16歳のときから、そこでレコーディングをしてたんだ。Top Dawg Studioって名前なんだけど、俺たちは"痛みの家"って呼ぶのが好きだった。それは俺達の小さな秘密基地だったんだ。俺はそこに戻って、腰を据えて、Section.80のためのプロセスを生み出さないとダメだったんだ。


"HiiiPoWeR"はどうやって出てきたの?

あれは俺がJ.Coleに貰ったビート集の中から選んだ最初のビートだった。俺はXXL freshmanの企画からキてたし、あのビートは俺のE-mailに入ってたんだ。俺はビートを聴きながら、しばらく座ってた。俺とパンチ(Top Dawg Entertainmentのオーナー)は、Malcolm X, Martin Luther King, Marcus Garveyといった名前をあげていったんだ。

パンチは俺にとってメンターなんだ。あの人は俺が知らなくて、共感できて、聴きたいことを教えてくれる。だから、あの人は名前を上げていったんだ。知ってるけど、調べたことが無いような名前をね。俺は、これは大変なことだと思ったんだ。俺たちはコンプトン地区でずっと学校に通ってたのに、誰も黒人にとって忘れてはならない人たちの本当の歴史なんて教えてくれてなかったんだ。
みんなが教えてくれるのは、いつも典型的なことばかりだった。彼はずば抜けて凄い人だったんだとかね。誰も腰を据えて「この人たちが君の人生や、黒人の人生のために、自分の人生を捧げた人たちだよ。」なんて言ってくれなかった。

俺がHiiiPoWeRを作りはじめたとき、俺はこの曲を説教みたいにはしたくなかった。俺は、自分がきちんと理解していなかったこれらの名前をパンチがあげたときの、自分自身みたいにアプローチしたかったんだ。だから俺はこの曲を録るときでも、答えを探して見つけ出そうとしている少年みたいに録音したんだ。誰か俺に教えてくれって感じでね。だから、この曲はパンチにインスピレーションを貰って次の日にはTop Dawg Studiosで録音したんだ。

俺が"HiiiPoWeR"を作るときに一番やりたくなかったことは、ありがちな人種問題の曲にすることだった。俺はもっと大きな理想のために、この曲を作りたかった。それは糞みたいなこと全てのことの上に立つことだった。さっきあげた人たちのように。だから俺が"HiiiPoWeR"って言うときには、俺は世界に存在するネガティブから逃れて、人生で何かポジティブなことを成し遂げようという人や、先にあげた先人達みたいに永遠に生き続ける大きなことを成し遂げようという人たちを代表してるんだ。

(Ab-Soul)
その曲について、俺が追加情報を教えてやるよ。これはもともと"Black HiiiPoWeR"って曲だったんだ。だけど、俺たちはそういう態度のHiiiPoWeRは嫌だったんだ。もっと大きくなけりゃいけなかったのさ。


あなたは、その曲について25種類のミックスがあったって訊いたんだけど、それはあなたの中にDreがいるのかな?

はははっ。そうかもしれないね。俺のエンジニアのAliが全部ミックスしてくれるんだけどね。俺たちはじっくりと正しい形で出せるように拘ったんだ。大衆の中に出たら、この曲がどういうことになるか分かっていたからね。

でも80%くらいの曲ではそうだったよ。俺はいつも求めている特定の音があったんだ。インストだけじゃなくて俺のアカペラにもね。時には、数回聴き比べをしないと好きな音に辿り着けないんだ。


MC Eihtが過去にSection8というアルバムをHi Powerというレーベルから出しているんだよね。それはあなたの動きに何か関係ある?

あ、なんかそれ知ってるかも(笑)。それはドープだね。
良いリサーチだね。君は自分が知ってるべきものを知ってる。


アルバムの一曲、"Ab Soul's Outro"はOdd Futureについて触れてるよね。数回聴かないと、どういうことか分からなかった。

で、何が分かったんだい?(笑)


彼はエイリアンやマヤ文明についてラップしてるみたいに思えた。だから"Odd Future(不思議な未来)"はその通りだけど、俺らの未来は違うってラップしてたんじゃないかな。それで、「このラップグループはクールだな。でも来年世界が終わるんだから俺らは不運だ。」って思った。でも分からないんだ。だから、どういうことか教えてほしかった。

そのラインは俺も分かって無いんだよね。ははは。


誰か僕達を助けてくれる人は居るかな?ここら辺に?

(Ab-Soul)
それはAb-Soulインタビューを組んでくれないとダメだな。ははは。そうさ、Ab-Soulインタビューをやってくれ。何通りも解釈のしようがあるラインだけど、タイトなラインってことだけは確かなのさ。

一番右がAb-Soul


いや、でも真剣に。Odd Futureのラインはどういう意味なの??

Ab-SoulはOdd Futureはドープだけど、俺らの未来はそれとはまた違うって言ってるんだよ。


じゃあ僕のそもそもの解釈はあってたんだ。どれだけ深読みしていいの?

それ以上は何も読めないよ。ははは。


Top DawgがマネジメントしてるJay Rockは、Strange Musicにいるよね。Strange MusicはTech N9neが一から立ちあげた会社でしょ。Top Dawgは同じようなことをやろうとしてる?

会社、チームとしての話なら、まさしくその通り。俺はTech N9neとツアーにも行ったし、彼が残した痕跡も見た。彼は町を回ってサポーターを一人一人増やして、ファン基盤を作ったんだ。俺は、それこそが多くのアーティストが見習うべきことだと思ってる。ヒットシングルを追いかけ回す事じゃなくてね。

もしヒットシングルを作ろうとして、実際にそのヒットシングルを生み出せたとして、それはアーティストにとって、成功にもなり得るし、破壊にも成り得るんだ。それで、大抵の場合は破壊だね。なぜなら、ヒットシングルを作った後は、次のヒットシングルをすぐさま生み出さないといけない。だから基本的には下り坂だ。でも、Tech N9neがやったみたいに、飛びまわって、実存するファン基盤を作りあげていったなら、彼らはずっと一緒に居てくれるんだ。


あなたはヒットシングルを作ることには興味が無いの?

もちろんあるよ。でも俺の場合は失敗しようがないんだ。だって、俺がヒットシングルを生み出したとして、その一曲だけしか作り出せずに、その曲と生き続けたとしても、各地を飛び回って築いたファン基盤が俺にはあるから、関係無いのさ。そのファン基盤は俺のことを信じてくれる。そして、俺が20年以上前に出したアルバムを買って、進歩を感じとってくれる。彼らはヒットチャートから俺の曲を買うわけじゃないんだから。

多くのアーティストがそこで失敗していると思うよ。彼らは実際に各地に足を運んで、アーティストとして、そして人間として、発信するメッセージを実際にみんなが信じてくれるようにやってないんだ。みんなが共感してくれるような状態を作っていないのさ。


でも、あなたは今まさにそのポイントにいるよ。あなたは既に、あなたのことを信じてる堅いファン基盤を持ってる。論理的に考えても、そろそろ大きなヒット曲を出す時期に思えるよ。

その通りだね。でも、自分を捻じ曲げてシーンに求められる曲を作るつもりは無いんだ。だって、そうやって出来たヒット曲を最初に聴くのは音楽を好きな人たちでしょ。俺の曲をあまり聴かない人でさえ、俺がヒットシングルを出すために道を踏み外して、上手く行ってなかったってことを感じとってしまうはずだよ。もし、正しくて納得できる形でなら、もちろん作るさ。喜んでね。全ては、自分にとって正しいと思えるかどうか、それに、自分と一緒にやってきてくれたファンを失わないかどうかなんだ。ヒット曲が欲しく無い人なんて一人もいないよ。


たしかWiz Khalifaもファン基盤を作るっていうコンセプトを取ってたと思う。彼はTaylor Gangを組織して、それからヒット曲の"Black & Yellow"を生み出したんだ。

それが正しいし、納得できるよ。"Black & Yellow"は彼がやってたことと、そんなに離れていないし、これまでの路線の延長線上にあって、セールス面でも上手くいった。


地元ピッツバーグをREPした"Black & Yellow"で2011年に大ヒットしたウィズ・カリファ


でもWizの場合は、Atlantic、つまりメジャーレーベルにいたんだ。あなたは、Top Dawgにだけ所属した状態で大ヒット曲を生み出せると思う?

生み出せると思うよ。もちろんお金はかかる。でも、それはインディーズをやってる限りは乗らなきゃいけないギャンブルだ。自分の財布からお金を出して、思い入れの強い曲を宣伝しなきゃいけない。メジャーだって、結局それをやってるわけだし。お金を掛けてラジオで流して貰う。インディーズで違うのは、賭けに出なきゃいけないってことくらいかな。


じゃあ、あなたはメジャー契約を追い求めない?

もし良い感じなら求めるよ。良い感じならね。俺たちが始めてやってきたニーズを満たしてなきゃいけないんだ。クリエイティブの側面でも、ビジネスの側面でもね。一から本質的なものを作り上げたら、それを改造されたくはないでしょ。自分が動いてた本質と同じところに乗っかってほしいはずだよ。それで助けてくれて、もっと良くしてくれることを望んでるんだ。それがベストな形だね。でも、そう思ってきたけど、最終的には俺たちは未だにインディーズだ。俺はいくつも契約の話を持ちかけられてきたけどね。


誰から?

たぶん、君が思いつくレーベル全部だよ。


Aftermath(Dr.Dreのレーベル)は?あなたがDreと一緒に居るところは目撃されてるよ。彼は、ここ十年で契約してきたどのアーティストよりも、君の近くに立っていた。

それは俺とDreに個人的な関係があるからだよ。最初のスタジオセッションで、俺たちはキチガイみたいに気があった。伯父-甥の関係みたいなバイブスだった。みんながDreをギャングスタラッパーとして見るけれど、あの人は俺と同じ物語を背負ってるんだ。狂った街の良い子なのさ。(この頃からGood Kid in a Mad Cityって構想があったんですね。)

俺たちはスタジオに座って、俺たちが経験してきた、それぞれのストリートについて語り合ったんだ。二世代も若いのに、あの人の話には共感できたよ。だからみんなは結び付けたがるんだろうね。スタジオ外での化学反応があるから。


ケンドリック・ラマーとDr.Dre


DreはJoell OrtizやSlim Da Mobsterといったようなラッパーと契約してるけど、彼らとは何処にも現れたことはなかった。でも、彼はあなたとレイカーズ(ロサンゼルスのNBAチーム)の試合に行った。あなたとステージに立った。彼は、他の誰に対しても、そんなことまでしなかったよ。

それは俺たちの関係だよ。本当に。それで、音楽作りはもっと良いぜ。スタジオでも外でもつるめたらね。俺はDreを100%尊敬しているんだ。あの人は、俺が出会えてから、凄くたくさんのものを与えてくれた。俺をより良いアーティストにするだけじゃなくて、より良い人間にしてくれたんだ。


彼はあなたに何を伝えたの?

人生全般についてさ。情熱を持つこと、ゴールを設定すること、ビジョンを持つこと。俺は、あの人がスタジオの中で腰かけて、人生の中で設定したマニフェストを全部書いて見せてくれるまでは、ビジョンってものを理解してなかった。そういったコンセプトは理解しにくいと思う。触れないから信じにくいしね。

あの人がマニフェストにした全ての事は、あの人はN.W.A.を始めたときから見えてたんだ。でもみんなはそれを信じられなかった。それは掴むことが出来ないから。それほどまでに重く考えることが出来なかったんだ。それが、あの人が教えてくれた一番クールなことだね。だって、あの人は自分のアルバムがこうなって、自分の曲がこうなって、自分のレーベルがこうなってっていうのが全部見えてて、実際にそれを実現したんだ。

基本的には自分自身を信じられるかどうか、そしてあの人ほど専念できるかどうかだ。あの人のもとで、その情熱を見て、N.W.A.を始めた頃から変わらない感情を見て、それはもうクレイジーだった。俺はもっとハードに行かなきゃって思わされたんだ。


あなたはDreから自分を信じることを学んだって話してくれたよね。"I Need A Doctor"では、エミネムはDre自身が自問自答と後悔ばかりしてるかのように語ってる。あなたも同じような印象を持ったことはある?Dreは老いてしまったって。

いや、俺が感じたのは、あの人は少なくとも音楽の世界では、世界を味方につけてるって分かってるってことくらいだよ。むしろ何よりも、全てが完璧であるようにしようっていう情熱が物凄いと思ったね。あの人は科学者みたいなんだ。それは全てのアーティストが自分の中に養わないといけないことだと思うよ。あの人は、ただそれが比較にならないレベルで凄いんだ。


僕が言いたかったのは、10年っていう刻が。。。

ははは。そうだね、俺が比較にならないっていうのは、全てが完璧じゃないといけないってことなんだ。あの人はとても批判的で、音楽に情熱を持ってる。だから完璧だと感じられなければ表に出せないんだよ。


あなたはDetoxに参加した?

バースはたくさん録ったよ。あの人が既に用意している音楽に見合うクオリティがあるかを試すために。


あなたは、今年Detoxが出るか知ってるみたいに思えるね。

日程は言えないよ。時が来れば、あの人が業界全体を黙らせるだろうね。


僕は、ビデオが出たときに、ついに出るんだってワクワクしすぎた...

ビデオが出たってことは、間違いなく近々出るってことさ。彼はこれまでにビデオを公開してないんだから。リークとかは別として。ビデオを出してお金を掛けたってことは、発売されるってことさ。


あなたは、Section.80を出すまでは、まだあなたがDreのビートの上でラップするのを人に聴かせるには早すぎるって言ってたよね。あなたはいつになったらDreとやった曲をリリースしても良いなと思ってる?

俺はそれはまだ取っておきたいと思ったんだ。俺はDreのビートの曲には独自の輝きを持たせたかった。Section.80には入れたくなかったんだ。Section.80には別の輝きを放たせたかった。俺は2、3曲Dreのビートが入ってるって理由で買われたくなかった。俺はその判断が正しかったと思ってるよ。みんなはもっと感謝するだろうね。


Dre.はSection80に何か関わってる?

いや、俺がDre.に聴いてもらったまんまのものをリリースしたよ。俺はただ彼の視点から聴いてみて、どう思うかが知りたかっただけだからね。彼はSection.80が好きだったよ。周りのものと違うって言ってた。周りと違ってもっと良いってね。違えば何でも良いって訳じゃないから(笑)。その頃に、一緒にスタジオに居て、あの人と繋がって言ったんだ。


スタジオ映像として他にリリースされたビデオには、あなたが"Ronald Reagan Era"にRZAのボーカルと一緒に取り組んでいるやつだったね。あれはどうやって出てきたの?

マイメンの海外にいるDJ FrictionがRZAと一緒に仕事をしてたんだ。RZAは俺の音楽が好きだった。俺の曲にある生々しさと感情が好きだったんだ。それで、俺はDJ Frictionと話してて、今RZAがいくつかボーカルを録ってるから、使って良いよって。俺は、「RZAのボーカルを使って曲を作って良いのかい??」って感じで(笑)。

彼はそれに関しての権利もくれたし、使ってやろうって思った。これには長い時間を掛けたね。俺はただ来るべき刻がきて、正しいレコードが見つかるのを待ってたんだ。俺は普通の曲なんて嫌だった。何とも捉えがたいものにしたかったんだ。だからそういう風に使ったんだよ。凄くドープだったし、彼の祝福も入ってた。だから、とてもイルだったね。Dave FreeがRZAも凄く曲を気に入ってたって教えてくれたよ。


J.Coleとのミックステープはどんな感じ?

それはホントに完成させなきゃね。みんなが本当に欲しがってるって知ってるんだ。でも、俺は同時にSection.80の曲をライブして回らなきゃいけない。だって、みんなSection.80の収録曲に命が宿るのを見たがってる。
俺が過去数年で学んだ一番大きな事は、曲を録ってCDにするのはドープなことだ。でも、観衆に触れて、パフォーマンスするのは、完全に別次元のエネルギーなんだ。アーティスト性をレベルが違うところにまで引き上げてくれるし、熱心にサポートしてくれるファンの基盤もできる。だから、ライブ・ツアーとレコーディングのちょうどいいバランスを見つけなきゃね。


じゃあ、あなたとJ.Coleは一緒にスタジオに入って曲を作ってる?

最近は作ってない。俺たちは忙しすぎるんだ。彼は今ツアーに行ってるし、俺はSection.80がある。最後に一緒にスタジオに入ったのは10カ月前とかだよ。だから数曲は出来てる。俺たちがスタジオに籠る時間を見つけられたら、きっと完成するよ。


数週間前にAb-Soulが、あなたとナズが繋がったってツイートしてたけど、どうやってコンタクトが取れたの?

俺のマネージャーが、俺の曲が好きなナズの友達と接触する機会があったんだ。ナズ自身は俺の曲を知らなかったと思うけどね。それで"HiiiPoWeR"をナズに紹介してくれた。たぶんナズは"HiiiPoWeR"を聴いてくれて、ハマって、クレイジーな曲だって言ってくれたんだ。それ以降は何が起こるか分からないって感じ。


あなたたちは実際に会ったり、電話で話したりしたの?

いや、友達を通してだけ。


2dopeboyzでの、あなたとファレルについての記事で、MekaはあなたとDrakeがトロントで繋がったって言ってた。

それは良い噂だね。近いうちに本当になってくれると嬉しいな。


CelebrationやDeterminedみたいな曲では、スヌ―プ(Snoop Dogg)やIce Cube、Quik、Dreといったアーティストと名を連ねるっていう考えを披露してたけど、それから2年後、あなたは実際にスヌ―プやQuik、Dre.から称賛を受けてる。それはどういう風に感じる?

先人から太鼓判を貰うのは美しいことだよ。さらにいえば、あの人たちは実際に俺のEPからそのラインを聴いて、俺が先人に頼らずに自分で自分を押していくって言ったことに賛同してくれたことが何よりも美しいことだと思う。

俺は西海岸のアーティストがみんなやるように、なんでOGたちは俺を助けてくれないんだ?って文句を言ったりしないよ。俺は自分でやって、自分の曲で注目を集めるんだ。それが俺の飛躍から、彼らが感じとったものなんじゃないかな。

もし過去に戻って、誰かがあの人たちに曲を聴かせたとしたら、あの人たちはきっとびっくりするよ。だって最近の若いラッパーが地道なライブ活動をしようとしてるなんて思っても無いだろうからね。みんなフックアップを待ってる。おれはフックアップなんか探して無い。

西海岸のラッパーたちが、既に成功したアーティストたちがフックアップしてくれないことに怒ってたときに、俺はそんなの馬鹿げてると思ってた。そういう考えが嫌いだった。何言ってるんだ?って感じ。黙って良い曲を作ってろってね。それが俺のメンタリティだったんだ。


名を連ねるといえば、あなたは最近ファレルとひとつやったよね。ファレルと仕事することになった経緯は?


PharrellとKendrick Lamar

彼から接触してきたんだ。俺のマネージャーに電話してきて、一緒にスタジオに入った。Section.80が好きだって言ってたし、俺たちが追い求めた曲調にも感謝してた。境界を超えるのを怖がらなかったことに関してもね。

Section.80を聴くと、みんながすぐに飛び乗れるような感覚じゃないと思うんだ。たぶん数回聴かないとダメ。でも数回聴くと、全ての骨子がつかめる。そういう感じに彼は感謝してたんだ。それは彼がStar Trakの日々で挑戦してた感覚と近いからね。俺とファレルはたぶん4曲くらいやるよ。


あなたはDr.Dre.からもファレルからもビートを貰った。彼らは高額なビートメイカーだよ。どうやって彼らからビートを買えたの?

それは人間関係だよ。


割引してもらってる?

ははは。してくれるといいね。でも、実際は、俺はあの曲を作ってリリースしようとしたら、そしたら、あの人たちはとんでもない額を請求してきたんだ。そんなもんさ!っていうのは嘘だよ。でも、まぁ割引してくれると良いね。もしあの人たちが俺の曲を好きで、俺の可能性を信じてくれるなら。だって、俺はどう見てもそんなレベルのお金は持ってないからね。


じゃあお金の話はしたことないんだ?

無いね。したくないことだし。それはアーティストとプロデューサーの関係を歪めるんだ。「まずこの曲について話をしよう」なんてプロデューサーは嫌だよ。そういうのは要らない。自分が持ってないようなお金のことを考えながらじゃ、自分の全てを注ぎこんでクリエイティブでいることが出来ないから。


あなたは飲んだり吸ったりしない数少ないラッパーだよね。そういうのしてた時期もあるの?

やったよ。でも俺が欲しいような刺激は得られなかった。もちろん飲んだくれたり、ハイになったり、バッドトリップに入ったりしたよ。とても怖かった。死ぬんじゃないかって思ったね。

後の"Bitch Don't Kill My Vibe"のPVではMolly(覚せい剤)を葬儀しています


大麻で??

いや、なんか他のやつだね。


混ぜ合わせたやつを吸ったの?

いいや、混ぜ合わせた奴でも無いよ。


何が起こったの?

死ぬかもしれないって思うようなバッドトリップに入っただけ。俺がバッドに入ることについて知ってるのはそれだけだよ。死ぬかもしれないって思うんだ。


それ以降は全く吸わなかった?

そのあとも数回吸ったよ。吸ったね。俺はハイになったこともあるけど、みんなが言うような良さが分からなかった。俺にはあってなかったんだ。俺は吸わない。それだけ。でも中毒者に囲まれてるよ。


あなたはScHoolboy Qのせいで"H.O.C"を書いたって言ってたよね。実際にハイ・オフ・コンタクト(スタジオに充満する副流煙でハイになる)になったことはあるの?

何がクレイジーか分かる?俺は"H.O.C"を作ったけど、俺の周りに居るのはウィズ・カリファの中でも選りすぐりのウィズ・カリファたちなんだ。ウィズ・カリファですら、あいつらみたいな吸い方をしないと思うよ。でも、そうだね。"H.O.C"はリアルな曲だよ。


"The Heart, Part 1"の中で、あなたはJ.Coleに会った話や、徐々に認識され始めた若いラッパーについて語ってたよね。今、2年前、それか去年のあなたのポジションにいるのは誰だと思う?

その質問はクレイジーだよ。だって俺はまだ自分を数年前と同じポジションに居るって考えてるから。(沈黙)。それはイルだね。俺は自分で何かを学んだんだ。俺はまだまだ自分を証明したい。俺にはまだまだ証明できる余地があるんだ。俺はもう両足をドアの中に踏み入れたって思ってる人もいる。でも、俺はまだ靴紐しかドアの中に入ってないんだ。

俺はロサンゼルスの奴ら以外は、あまり詳しく話すことはできないね。でも、みんな同じポジションにいると思うよ。俺は他の人を見て、俺の方が前にいる、あいつの方が前にいる、なんて思わないんだ。俺たちは、自分のやりたい音楽を、みんな聴いてるってレベルで出して、糞みたいな業界を変えられるようになるまでは、誰も頭一つ抜けてなんかいないんだ。


他にも何か動いているプロジェクトはある?

今はたくさんの音楽を作ってる。俺のアルバムの話にならない限り、特定のプロジェクトに集中はしないと思う。それだけが、俺が唯一熱中するものだからね。あとは、Black Hippyのはもちろん完成させなきゃ。

Black Hippyの面々。


いつまでにリリースするっていう予定はある?

Black Hippyのは今年中に出せるんじゃないかな。でも次のソロのプロジェクトはまだやる予定は無いね、しばらくはSection.80に息をさせなきゃ。


あなたの次のプロジェクトは大きなものになりそうだね。メジャーレーベルで出さないとしたら、メジャーの流通契約を結ぼうとしたりする?

そういうことは俺はあまり考えて無いよ。俺はただ音楽に集中するんだ。ビジネス的な着地点は考えてないんだ。今はSection.80に集中してるし、ビデオを作り終えることに集中してる。もっと露出しなきゃいけない。しばらくはSection.80をもっと押していくよ。まだまだ新しいし、まだまだ息をしてる。限界まで押していくんだ。