今回のControlでのKendrick Lamar騒動では、すっかり喰われてしまった感のあるBIG SEANが、今回の曲の制作経緯などをインタビューで答えています。

複雑な心境を、お楽しみください。
曲自体は完成していたのに発表は控えていたのですか?
いや、あれは結構最近完成した曲なんだ。本当はアルバムに入れたかったんだけど、製作中はいつも面倒な事が起きる。
ファーストアルバムのときもクリアランスの問題はあったしね。この曲は特に良いものにしたかったからかなりこだわった。8分くらいのドープな曲がアルバムに欲しかったんだ。
サンプルクリアランスを待ってアルバム発売を延期にするか、それともこの曲を外すか。その2択だって言われたから、じゃあお蔵入りにするしかないと思ったんだ。まあでも、この曲はスペシャルすぎるから結局発表する事にしたんだけど
すぐにでも発表したかった?
そう。この曲がヒップホップというカルチャーにどういう影響を及ぼすか分かっていたから。それは皆の興奮度をみればわかると思うけど。ヒップホップのことを考えたら、発表する以外に選択肢はなかった。ヒップホップが本来どういうものだったのか、思い出させてくれた感じだね。
ファンの反応を見ればそれは明らかですね。リスナーは昔のようなリリカルな曲に飢えてるんでしょうか。
皆が求めてるのはリリカルだけじゃない、ネームドロッピングだろうね笑。
誰が一番最初にバースを録音したんですか?
俺だよ。俺が曲を作り始めて、自分のバースを録音してからケンドリックとジェイエレックに送ったんだ。そしたらケンドリック(Kendrick Lamar)のラップが入ったやつが返ってきたんだ。
すぐに返ってきたんですか?
忘れたけど、確か数日後だったと思う。
初めてケンドリックのバースを聞いたときはただただ笑ったね。それで思ったんだ。こういうヒップホップに戻さなきゃいけないって。これがカルチャーだってね。だってそうだろう、たった1曲でこれだけの人がエキサイトしたことはなかっただろ?

ケンドリックから事前にリリックの内容について警告が来たんですか?
いや。彼のバースが送ってきた後に話す機会はあったけどね。
ケンドリックは今でも俺のホーミーだ。でも彼がラップした通りだよ。友情は確かにあるけど、これはスポーツなんだ。
あのリリックを聞いたあと、自分のバースを書き直す事ももちろんできた。でもそれはズルい。俺は俺のままで、やれることをした。ケンドリックのバースを編集することもできたし、ネームドロップすることも可能だった。でもそれはOGがやってはいけない事だ。それはGが取るべき行動じゃない。ヒップホップのために、カルチャーのためになることをしたかった。自分の保身じゃなくてね。
3人がバースを蹴ったら、誰か一人が目立つのは当たり前のことだよ。All MeとかCliqueを聞いてみればわかる。俺もナイスなバーをスピットしたんだ。ジェイエレックも俺も自分のバースを後から改ざんする必要はない
ケンドリックがネームドロッピングしたことは正直不安要素でしたか?例えばあなたのレーベルメイトのPushaの名前も出ていますが。
いや、別にナーバスにはならないよ。これがヒップホップだからね。スポーツなんだ。リスナーが求めてるなら、またヒップホップにコンペティションを持ってくる必要がある。皆自分がやりたい事をやればいいんだよ。自分を表現するラップだっていい。自由だよ。
あれはディスという訳ではないですよね。むしろ、ネームドロップされなかったラッパーのほうがディスられている様に感じました。
そうそう。俺たちはみんな這い上がってきたヤングGだ。お互いのことをリスペクトしてる。だからあのバースを聞いたからって、自分の名誉のためにリリックを書き直すことはしない。
俺はヤバいラッパーなんだよ。Fireを聞いてみろよ。いや、Controlだってそうだ。(インタビュアーを遮ってControlのバースの一部をラップし始める)フレッシュだろ?フレッシュな上に、印象に残るから引用もしやすい。そういうラインがこの曲には多い。
ジェイ・エレクトニカの客演はどういう経緯で?
アルバムを制作するにあたって一番フレッシュなラッパーが必要だった。ジェイも俺のダチだから連絡をとったんだ。彼のことはMCとしてリスペクトしてるしね。最近彼がシーンでアクティブじゃなかったのは知っていたけど、Controlをきっかけにカムバックしたらクールだと思ったんだ。
いまこの曲がものすごい波紋を呼んでいる事についてはどう思いますか?多くのラッパーが反応していますが。
ただただ無事に発表できたことが嬉しいし、Controlが俺の曲だっていうのも最高だ。だから気にしていないね
NYのラッパーは特に過敏に反応するでしょうね。
俺はデトロイト出身だ。バースでも言ったけど、デトロイト対他の皆っていう構図なんだよ。
まあNYのラッパーは大変だろうね笑。すでにマッドになってるみたいだ。インストが欲しいっていう連絡ももう来てるから笑。
ケンドリックのバースはドープだよ。あれがどういうインパクトをヒップホップ界に残すかも分かってた。これだけは覚えておいてくれ。俺は保身のためにバースを書き直したりしないやつだってことだ。
俺はデトロイトをレップしてるリアルなラッパーだ。あの曲は俺が指揮をとって3人で仕上げたものなんだ
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■ ライター・プロフィール
今回のインタビュー和訳記事は、JapanovasのAtsuさんにご寄稿いただきました。
Atsuさんのブログや音源も是非チェックしてみてください!
Soundcloud: https://soundcloud.com/atsuhiphopbeats
Twitter: @AtsuJapanovas
相当バース書き直したかったけど我慢したんでしょうね笑。